こんにちは、元公務員のとらねこです。
今回の想定読者は下記のとおり。
こういった疑問にお答えします。
本記事では、公務員が安泰と言われる理由を紹介し、それが事実かどうか、実体験をもとに解説していきます。
最後まで読めば、公務員が安泰でないことに気付くことができるはずです。
現役公務員や公務員志望者はぜひ本記事をご覧ください。
目次
公務員が安泰と言われる理由
公務員は、一般人からすると安定した職業に見られています。
私が公務員になった時は、周りから「一生安泰だね〜」とよく言われたものです。
市役所の窓口対応に従事している時も、「公務員は安定していて羨ましい」とよく言われました。
かくいう私も公務員になるまでは、下記の理由から公務員は安定した職業だと考えていました。
- 給料が右肩上がりに増える
- ボーナスが確実にもらえる
- 退職金が2000万近くもらえる
- 勤務日がカレンダーどおり
- 毎日定時帰り
- ノルマがない
- 倒産するリスクがない
本記事を読んでいる皆さんも同じイメージを持っているのではないでしょうか。
しかし実際に公務員として働くと、上記のイメージが間違っていることを知ることになります。
私自身、そのことを身をもって知ったからです。
皆さんにも公務員のリアルを知ってほしいと思います。
リアル①:公務員の給料は必ずしも右肩上がりでない
これを聞くと驚く方が多いのですが、公務員の給料は必ずしも右肩上がりではありません。
大規模災害発生時は給料が下がることもある
私が就職する直前、東日本大震災がありました。そのときは公務員の給料がカットされました。公務員の給料は税金によって賄われているので、当然といえば当然ですね。
私は震災時点で未就職でしたが、就職した直後に条例が改正され、私の給料もカットされました。
公務員の初任給は安いですから、そこから更にカットされたときは「生活できるかなぁ・・・」と不安に感じたものです。
民間賃金が下がれば公務員の給料も下がる
また、公務員の給料は別の理由でも下がることがあります。
例えば、民間賃金が下がったとき。
公務員の給料は、規模50人以上の平均給料によって決まるので、民間賃金が下がれば公務員の給料も安くなります。
事実私が市職員だったときも、民間賃金が下がったことに伴い給料が下がったことがあります。
このように公務員の給料は民間賃金にリンクするので、公務員の給料が右肩上がりというのは間違いです。
リアル②:公務員のボーナスは年によって変動する
「公務員はボーナスが安定している」というのも間違いです。
公務員のボーナスは、給料と同様、規模50人以上の民間支給月数に応じて変動します。
例えば民間企業の平均が4ヶ月だったら公務員のボーナスも4ヶ月になります。
最近は景気の回復とともに支給月数が年々増加傾向ですが、リーマンショック直後は4ヶ月を下回り過去最低の支給月数でした。
もちろんボーナスがもらえない民間企業もある中で、4ヶ月近くもらえるのはありがたい話です。
私も家族もとっても喜んでいます。
けれど公務員のボーナスが毎年変動していることを、公務員志望者には知ってほしいです。
リアル③:公務員の退職金は年々減少している
公務員の魅力の一つに退職金が多いことがあげられますが、最近は毎年減少の一途をたどっています。
5年ほど前は2500万近くありましたが、現在は2000万に近づきつつあります。
これは民間企業の退職金が減少していることが理由にあげられます。
日本の人口は減少が続いており、ともなって日本の市場は縮小傾向にあります。
なので民間企業の退職金は今後も減少が予想されるので、公務員の退職金もどんどん減らされるでしょう。
公務員の退職金は、退職時点の給料月額ベースで決まる
公務員の退職金が減ると考える理由は他にもあります。
それは、公務員の退職金の計算方法。
公務員の退職金は、退職時点の給料月額をベースに算定されます。
しかし近年、公務員の定年間近の給料が抑制される動きが進んでいます。
なので今後は、民間の退職金の減少に関わらず公務員の退職金は減少するでしょう。
リアル④:土日勤務は当たり前
非公務員の方は、公務員はカレンダー通りで働いていると思っていますが、実際はそうではりません。
土日勤務も頻繁にあります。
イベント系の部門であれば土日に仕事をするケースが多いですし、業務量が多い部門であれば平日で捌ききれない仕事を土日にすることだってあります。
私自身も福祉系の部門に在籍していた頃は、繰り返しおこる制度改正により土日返上で頑張っていた頃もありました。
公務員は意外とハードなんですよ。
リアル⑤:定時上がりは都市伝説
市役所で働いていた頃は、住民の方から「公務員は定時上がりだから楽でしょ?」と皮肉を言われたことがよくありました。
その度に「実際はそんなことないのにな〜」と心の中で思っていました。
公務員は残業が多いです。人員削減が進む一方で、制度改正や新規事業の対応がたくさんありますから。
私自身も制度改正にともなう対応で、毎日22〜23時まで仕事をしていた時期がありました。
出世部署と言われる財政部門や人事部門では、膨大な仕事をさばくため深夜まで仕事をしている方もいました。
市役所レベルならまだマシですが、私の友人がつとめる県庁では夜中まで働きタクシーで帰る職員もいるそうです。
楽と思われがちな公務員ですが、このように残業地獄の側面もあったりします。
リアル⑥:公務員は日々ノルマと戦っている
公務員は売上目標が存在しないので、ノルマがないと思われがちです。
しかしその情報は間違いで、公務員にもしっかりノルマが存在します。
例えば住民からの申請手続き。「住民からの申請は何日以内に審査しましょう」というルールが法律で定められています。
また市役所であれば、国や都道府県から照会に回答したりする仕事があり、それもまた回答期日が決まっています。
膨大な事務量によりノルマを守るのに必死
また、ノルマ・期日が決まっているだけであれば全く問題ないのですが、公務員の仕事はとにかく量が多いのでノルマを守るのが大変です。
部署によっては自分の担当業務だけでなく、窓口対応・電話対応で時間がとられ、自分の業務が時間外からスタートするケースだってあります。
そういうわけで、公務員は日々ノルマと必死に戦っており、のんびり仕事をしている訳ではありません。
リアル⑦:人口減少により自治体数は減少へ向かう
公務員になって最も言われたフレーズは「公務員は潰れないから安泰だよね〜」というもの。
就職した当時は「そうだよね」と共感していましたが、将来的にはそうもいきません。日本の人口が減少しますから。
人口減少とともに自治体数は半減する
東大教授らの予測によると、人口の減少により2040年には約半数の自治体が消滅すると考えられています。
これから公務員になる人が40歳になる頃の話です。
自治体数が半減するということは、複数の自治体が合併することを意味します。
すると、人員整理のため人員がカットされることも容易に推測できます。
にも関わらず公務員が安泰だとする意見は非常に安直ではないかと考えます。
まとめ
私が公務員が安泰でないと考える理由は下記のとおりです。
- 公務員の給料は必ずしも右肩上がりでないから。
- 公務員のボーナスは年によって変動するから。
- 公務員の退職金は年々減少しているから。
- 公務員の勤務日はカレンダーどおりでないから。
- 公務員の定時上がりは都市伝説だから。
- 公務員は日々ノルマと戦っているから。
- 人口減少とともに自治体数が減少するから。
とはいえ、公務員に就職することを恐れる必要はありません。ここで紹介した内容は民間企業では当たり前ですから。
むしろ負の側面を紹介してもなお、公務員の雇用条件・働き方は魅力的です。
なので自分自身のやりたいことを踏まえ、公務員へ就職するのか、民間就職するのかを検討するのがいいと考えます。